01なぜ「NT倍率大作戦」なのか
NT倍率を使った取引は、古くから知られている手法です。日経平均先物とTOPIX先物の買いと売りを1回の操作で同時に注文できる証券会社があるほどです。それなのに、実際に取り組んでいる個人投資家はほとんどいません。
理由ははっきりしています。「NT倍率」で検索して出てくるのは、計算式や「日経平均とTOPIXのどちらが強いかを表す指標」といった解説がほとんどです。いつ建てて、いつ決済するのかという、トレードに必要な部分まで踏み込んだものは、ほぼ見当たりません。
『NT倍率大作戦』は、そこを埋めるために書いた本です。NT倍率のチャートを、売買の判断に使える形に作り込みました。そのうえで、エントリー・決済・入り直しのルールを決め、何年分ものデータで確かめながら改訂を重ねてきました。NT倍率にここまで深く、真剣に取り組んだ戦術は、ほかにないと自負しています。
| よくあるNT倍率の解説 | NT倍率大作戦 | |
|---|---|---|
| 扱う内容 | 計算式、指標としての意味、過去の推移 | チャートの作り方、売買のサイン、建て方・決済・入り直しのルール |
| 売買の方向 | 「高いと日経平均が強い」までの説明が中心 | 天井圏ではNTショート、底値圏ではNTロング。どちらの向きでも利益を狙う |
| 実践の手順 | 読み手に任される | TradingViewでのチャート作成から、枚数の合わせ方、限月の選び方まで手順で解説 |
| 改訂 | — | 2022年のVer1.0から、実践の結果をもとに改訂を継続 |
02日経平均が「半導体指数」になった今、NT倍率は読みやすい
NT倍率トレードは、日経平均先物とTOPIX先物を逆向きに同時に持つ「両建て」の取引です。米国の金利、為替、地政学リスクのように日本株全体を動かす材料は、買いと売りの両方に同じように効くため、打ち消し合います。残るのは「日経平均とTOPIXのどちらが強いか」という1点だけです。
そして今の日経平均は、株価の高い半導体・AI関連株の比重が大きく、「日本の半導体指数」に近い性格になっています。NT倍率が大きく動くきっかけは、半導体株に資金が向かうか離れるかに絞られてきました。動く理由がはっきりしているので、トレンドが出やすく、読みやすいのです。2026年には、NT倍率が月末値で14倍台から17倍台まで動きました(NT倍率のリアルタイムチャート)。
見る材料が少なく、動いたときの値幅が大きい。これが、NT倍率大作戦が今の相場でこそ力を発揮する理由です。
03戦術の全体像:短期のα戦術と中期のβ戦術
考え方はシンプルです。日経平均とTOPIXは同じ方向に動きますが、動く幅に差が出ると、やがてその差は埋まる方向に戻ります。そこで、NT倍率が天井圏ならNTショート(日経平均先物を売り、TOPIX先物を買う)、底値圏ならNTロング(日経平均先物を買い、TOPIX先物を売る)を建て、均衡点まで戻ったら両方を同時に決済します。
その「天井」と「底」を、チャートでどう捉えるかが戦術の中身です。本書では、性格の違う2つの戦術を組み合わせています。
| α戦術(短期) | β戦術(中期) | |
|---|---|---|
| 捉えるもの | NT倍率の行き過ぎと、そこからの反転 | 短期のサインが出ないまま始まる、中期のトレンド転換 |
| サイン | 予兆のサイン(Pre)が点灯したあと、実行のサイン(Go)でエントリー | 中期の流れが切り替わったことを示すサインでエントリー |
| 保有期間の目安 | 1日〜数日 | α戦術より長め |
| 生まれた経緯 | Ver1.0から続く基本の戦術 | Ver1.0の実践の中で見えた「取り逃し」を埋めるために追加 |
どちらも、チャートを見てサインが出てから動く「後追い」の戦術です。NT倍率の方向をあらかじめ予想して張るのではなく、ルールに従って建て、ルールに従って決済します。勝率は55%程度で十分で、1回の利益を1回の損失の1.5倍程度にすることを重視した設計です。
使用するチャートの詳細とサインの条件は、本書の中で解説しています。
04再現性:チャート作成からルールまで、すべて書いている
NT倍率大作戦は、相場観やセンスに頼る戦術ではありません。本書の手順どおりにチャートを用意すれば、誰でも同じサインを見て、同じ判断ができます。本書で解説している主な手順は次のとおりです。
- チャートの作成:TradingViewでNT倍率のチャートと、売買の判断に使うチャートを作る手順を、画面に沿って解説
- サインとルール:エントリー、利確の決済、入り直し(再IN)の条件。サインを始値・終値・取引時間中のどこで判定するかまで決めています
- 金額のそろえ方:日経平均先物とTOPIX先物の金額を1対1に近づける枚数の計算
- 限月の選び方:2つの先物の限月をそろえられないときの考え方と、SQ前のロールオーバー
- 証拠金:両建てで証拠金が小さくなる仕組みと、注文時に必要な資金
- 夜間の備え:寝ている間や仕事中に大きく動かれたときの対策
今の株価水準での組み合わせの例(日経225マイクロ先物6枚とTOPIXミニ先物1枚)と、必要な資金の目安はNT倍率とは(NT倍率トレードの仕組み)で紹介しています。
05弱点も隠さない
本書には「NT倍率大作戦の弱点」という章があります。良いところだけを並べた本ではありません。
- 自動の決済注文が難しい:NT倍率は2つの指数の割り算なので、「NT倍率が◯倍になったら決済」という注文は出せません。寝ている間に大きく動かれると、思ったように決済できないことがあります。
- 2つの先物を同時に決済する必要がある:片方だけ決済して時間がたつと、思わぬ損失につながります。
- 値段の刻みが違う:日経平均先物とTOPIX先物では、1刻みで動く金額が違います。
Ver2.1では、1つ目の弱点への具体的な対策として、急変動時に日経平均先物の側だけに逆指値を置く「片側決済」と、目標のNT倍率に対応する価格を求める「決済ターゲット計算シート」(Excel)を追加しました。万能ではないことも含めて、使いどころを解説しています。
06版の歴史:Ver1.0からVer3.0へ
- Ver1.0(2022年):短期のα戦術を解説した初版。
- メンバーシップで発表:Ver1.0の発売から1年あまり後、YouTube「オプション投資ラボ」のメンバーシップで中期の戦術を発表。
- Ver2.0:短期のα戦術と中期のβ戦術の二本立てに。バックテスト、金額のそろえ方、限月の選び方、夜間の対策、弱点の章を収録。
- Ver2.1 Premium(販売中):追加章「急変動時の片側決済と決済ターゲット計算シート活用法」を収録。134ページ。
- Ver3.0(執筆中):熊谷が独自に作ったオリジナルチャートで、天井と底をより確度高く捉える形へ。日経225マイクロ先物6枚とTOPIXミニ先物1枚の組み合わせで解説予定。Ver2.1とは別の商品として販売する予定で、Ver2.1からの無料アップデートではありません。
NT倍率大作戦は「書いて終わり」の本ではありません。読者の実践と、毎日の相場で見えた課題を次の版に反映し続けています。
07本書の内容(章立て)
- はじめに/なぜNT倍率なのか
- NT倍率について知っておこう(概要と定義・歴史と背景・NT倍率の役割)
- NT倍率をトレードするには?
- NT倍率大作戦の概要(短期のα戦術・中期のβ戦術)
- チャート作成における準備(TradingView)
- α戦術:サイン、決済、入り直し、判定のタイミング、実践編
- β戦術:サイン、決済、入り直し、実践編
- バックテストと注意事項
- 限月を合わせられない時どうする?
- 証拠金について最低限知っておこう
- 日経平均とTOPIXで金額比率を調整する
- 就寝時の利確&ロスカット対策
- NT倍率大作戦の弱点
- Ver2.1追加章:急変動時の片側決済と「決済ターゲット計算シート」活用法
- NT倍率トレードにおすすめの証券会社
08こんな人に向いています
- 本業が忙しく、たくさんの銘柄やチャートを追う時間がない人。見るのはNT倍率のチャート1本です
- 日経平均の上げ下げを当てるのに疲れた人。相場全体の方向ではなく、日経平均とTOPIXの「差」を取ります
- 少ない資金から先物を始めたい人。両建てで証拠金が小さくなり、マイクロ先物を使えば少ない枚数から始められます
- TradingViewでチャートを使った売買を学びたい人。本書のチャート戦術の考え方は、個別株や先物にも応用できます
先物取引は、証拠金を上回る損失が出る可能性がある取引です。仕組みを理解し、少ない枚数から始めてください。
09よくある質問
01NT倍率大作戦とは何ですか?
日経平均とTOPIXの比率(NT倍率)の動きを、チャートの作り方から売買ルールまで決めたトレード戦術として体系化した、熊谷順司(熊谷@オプション投資家)の電子書籍です。2022年のVer1.0から改訂を続けていて、最新版はVer2.1 Premium(134ページ)。noteで延べ2,500部以上が読まれています。
02どこで買えますか?
カブラボの公式ショップ「みんラボSHOP」と、noteで販売しています。購入は公式ショップがおすすめです。noteでは冒頭の部分を無料で読めるので、内容を確かめてから選ぶこともできます。
03初心者でも実践できますか?
できます。TradingViewでのチャートの作り方から、エントリー・決済・入り直しのルール、枚数の合わせ方、限月の選び方までを手順で解説しているので、本書のとおりに進めれば誰でも同じ判断ができます。ただし先物取引の口座が必要で、損失が証拠金を上回る可能性もある取引です。少ない枚数から始めてください。
04どのくらいの資金が必要ですか?
日経平均先物とTOPIX先物の両建てなので、必要な証拠金は片方だけを持つ場合より大幅に小さくなります。熊谷の今の組み合わせ(日経225マイクロ先物6枚とTOPIXミニ先物1枚)では、2026年10月時点で口座に40〜45万円程度を用意する目安です。証拠金は相場によって変わるため、最新の金額は証券会社で確認してください。
05NTロングとNTショートの両方を使うのですか?
はい。NT倍率が天井圏ではNTショート(日経平均先物を売り、TOPIX先物を買う)、底値圏ではNTロング(日経平均先物を買い、TOPIX先物を売る)を建てます。どちらの向きでも、チャートのサインに従ってエントリーと決済を行います。
06Ver3.0は出ますか?Ver2.1を買うと受け取れますか?
執筆中です。Ver3.0では、熊谷が独自に作ったオリジナルチャートで天井と底を捉える形に進化させ、日経225マイクロ先物6枚とTOPIXミニ先物1枚の組み合わせで解説する予定です。Ver3.0はVer2.1とは別の商品として販売する予定で、Ver2.1をお持ちの方への無料アップデートはありません。Ver2.1は、今の相場でもそのまま使える戦術として販売を続けています。