01かぶオプの基本と日経225オプションとの違い
かぶオプは、日経平均を対象にした「日経225オプション」の個別株版です。仕組みは同じオプションですが、権利を使うと実際に株の受け渡しが起きる点が大きく違います。
| かぶオプ(有価証券オプション) | 日経225オプション | |
|---|---|---|
| 対象 | 東証上場の個別株・ETF・REIT(取引所が選んだ銘柄) | 日経平均株価 |
| 取引単位 | 対象銘柄の売買単位(多くの株は100株) | 日経平均 × 1,000(ミニは × 100) |
| 権利行使の結果 | 株の売買が成立する(受け渡しあり) | 差額のお金でやり取り(差金決済) |
| 取引最終日 | 各限月の第2金曜日の前営業日(通常は第2木曜日) | 各限月の第2金曜日の前営業日 |
| 権利行使 | 取引最終日のみ | SQ日のみ |
| 取引時間 | 9:00〜11:30、12:30〜15:40(夜間取引なし) | 日中と夜間 |
| 限月 | 直近2限月+3・6・9・12月のうち直近2限月 | 短期限月から長期限月まで多数 |
オプションには「買う権利(コール)」と「売る権利(プット)」があり、それぞれを買うことも売ることもできます。買い手は権利の代金(プレミアム)を払い、売り手はプレミアムを受け取る代わりに、権利を使われたら応じる義務を負います。
かぶオプの判定は取引最終日だけで行われ、それまでの値動きで権利が使われることはありません。途中で下がっても、期限の日に条件を満たしていなければ何も起きないので、期中の値動きに振り回されにくいのも特徴です。
02使い方1:お金をもらって指値する(プット売り)
私がかぶオプでいちばん勧めたいのがこの使い方です。「ターゲットバイイング」とも呼ばれます。
例:1万円の株を9,500円で買いたい
ふつうは9,500円に買いの指値を入れて待ちます。下がらなければ何も起きません。かぶオプでは代わりに、行使価格9,500円のプットを1枚売ります。「期限の日に株価が9,500円を下回っていたら、9,500円で100株買う」という約束を売るイメージです。
株は買えませんが、受け取った28,500円はそのまま手元に残ります。9,500円分の資金に対して約3%です。
9,500円で100株を買うことになります。ただし先に285円を受け取っているので、実質の取得価格は9,215円です。
どちらに転んでも「もともと欲しかった株を、欲しかった価格以下で買う」か「お金だけもらう」かのどちらかです。プレミアムの水準は銘柄や時期で大きく変わります。値動きの小さいディフェンシブ株は低く、値動きの激しい銘柄ほど高くなります(その分、高値で買わされるリスクも上がります)。
ナンピン癖の歯止めにもなる
プットを売るには、注文の前に「どの銘柄を・いくらで・何株買うか」を決めなければなりません。決めないと注文できない仕組みなので、下がった勢いで場当たり的に買い増す「ナンピン」の歯止めになります。ただし、プットを売った後にさらに下がったからといって追加で売れば、それはオプションでも同じナンピンです。
03使い方2・3:カバードコールとヘッジ
カバードコール:持っている株から追加の収入
保有している株(100株)に対してコールを1枚売る方法です。プレミアムを受け取る代わりに、期限の日に株価が行使価格を上回っていれば、行使価格で株を売ることになります。「この価格まで上がったら売ってもいい」という売りの指値に、お金をもらうイメージです。上昇相場ではその先の値上がり益を逃す点に注意が必要です。
プット売りで株を買い、買った株でカバードコールを行い、売れたらまたプット売りに戻る、という繰り返しは「ホイール戦略」と呼ばれます。
ヘッジ:決算前の保険としてプットを買う
保有株の決算発表の前などに、その銘柄のプットを買っておくと、株価が大きく下がったときにプットの値上がりで損失を相殺できます。払うのはプレミアムだけで、損失はその範囲に限られます。
04かぶオプを取引できる証券会社
2026年6月時点で、個人がかぶオプを取引できる主な証券会社は次の3社です。
- インタラクティブ・ブローカーズ証券
- 光世証券
- moomoo証券
SBI証券・楽天証券・マネックス証券では取り扱いがありません(2026年6月時点)。オプション取引の口座開設には、各社の審査(投資経験・資産状況など)があります。最新の取り扱い状況は各社のサイトで確認してください。
05対象銘柄と選び方
かぶオプの対象は取引所が選んだ銘柄ですが、実際に売買しやすいのはマーケットメイカー制度の対象銘柄です。マーケットメイカーが常に売り買いの気配を出しているため、注文が成立しやすくなっています。対象は2025年9月に拡大し、2026年8月3日からは32銘柄から50銘柄に増えました。2026年11月からは純金上場信託(1540)とキオクシアホールディングス(285A)も加わる予定です。
| 順位 | 銘柄 | 取引代金 |
|---|---|---|
| 1 | NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321) | 143億円 |
| 2 | キオクシアホールディングス(285A) | 107億円 |
| 3 | ソフトバンクグループ(9984) | 67億円 |
| 4 | 信越化学工業(4063) | 49億円 |
| 5 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) | 48億円 |
出所:大阪取引所 ニュース(2026年10月8日)
銘柄を選ぶときは、次の3点を確認しています。
- マーケットメイカー対象か:対象外の銘柄は気配が出ていないことが多く、売買しにくい。
- 必要な資金:取引単位が100株なので、株価4万円の銘柄なら1枚で約400万円分の株を扱うことになります。
- 行使価格の刻みが株価に合っているか:株価が低い銘柄は行使価格の間隔が相対的に粗く、狙った価格で組めないことがあります。
個別株を応援する気持ちが要らない、日経平均連動型や高配当株のETFでプット売りを続けるのも、機械的に続けやすい使い方です。
06リスクと注意点
- 下落が続けば高く買わされる:プット売りは、期限の日に株価が大きく下がっていても行使価格で買う義務があります。プレミアムで埋められるのは損失の一部だけです。
- 上昇益を逃すことがある:カバードコールでは、行使価格を大きく超えて上がった分の利益は得られません。
- オプションでのナンピン:下がったからといってプットを追加で売り増すのは、現物のナンピンと同じ行動です。
- 証拠金と資金:オプションの売りには証拠金が必要です(VaR方式で計算)。プット売りは、行使されたときに株を買う資金も用意しておくのが基本です。
- 流動性:マーケットメイカー対象外の銘柄や遠い行使価格は、気配が薄く、思った価格で決済できないことがあります。
私自身は、かぶオプを「好きな銘柄を当てにいく投資」ではなく、決めた価格で淡々とプレミアムを受け取る仕組みとして使っています。
07よくある質問
01かぶオプとは何ですか?
かぶオプは、大阪取引所に上場している有価証券オプションの愛称です。東証に上場している個別株・ETF・REITのうち取引所が選んだ銘柄を対象に、決めた価格で買う権利(コール)や売る権利(プット)を売買できます。取引単位は対象銘柄の売買単位(多くの株は100株)で、権利を使うと実際に株の売買が成立します。
02かぶオプはどの証券会社で取引できますか?
2026年6月時点で、個人が取引できる主な証券会社はインタラクティブ・ブローカーズ証券、光世証券、moomoo証券の3社です。SBI証券・楽天証券・マネックス証券では取り扱いがありません。最新の取り扱い状況は各社のサイトで確認してください。
03かぶオプの取引最終日はいつですか?
各限月の第2金曜日の前営業日で、通常は第2木曜日です。権利行使の判定はこの取引最終日だけで行われ、それまでの値動きで権利が使われることはありません。
04「お金をもらって指値する」とはどういうことですか?
買いたい価格を行使価格にしてプットを売る方法です。たとえば1万円の株を9,500円で買いたいとき、行使価格9,500円のプットを売ってプレミアム(例:285円×100株=28,500円)を受け取ります。期限の日に9,500円より上なら株は買えませんがプレミアムは残り、下なら9,500円で100株を買うことになります(実質の取得価格は9,215円)。
05日経225オプションとの違いは何ですか?
日経225オプションは日経平均が対象で、権利行使は差額のお金でやり取りする差金決済です。かぶオプは個別株・ETF・REITが対象で、権利を使うと実際に株の受け渡しが起きます。また、かぶオプには夜間取引がありません。
06かぶオプは初心者でもできますか?
できます。特に、欲しい株を決めた価格で買うためのプット売りや、保有株のカバードコールは、ふだん指値で株を買っている人には考え方が近く、始めやすい使い方です。ただしプット売りは、株価が大きく下がっても行使価格で株を買う義務があり、損失が大きくなる可能性があります。必要な資金と最悪のケースを確認してから、少ない枚数で始めてください。