01コールとプット、4つの基本ポジション
オプションには「買う権利(コール)」と「売る権利(プット)」があり、それぞれを買うことも売ることもできます。組み合わせは4つです。
| こうなると利益 | 最大の利益 | 最大の損失 | |
|---|---|---|---|
| コールの買い | 日経平均が上がる | 上がるほど大きい | 払ったプレミアムまで |
| プットの買い | 日経平均が下がる | 下がるほど大きい | 払ったプレミアムまで |
| コールの売り | 上がらない(横ばい・下落) | 受け取ったプレミアムまで | 上がるほど大きい |
| プットの売り | 下がらない(横ばい・上昇) | 受け取ったプレミアムまで | 下がるほど大きい |
買い手は「保険を買う人」、売り手は「保険を引き受ける人」に近い関係です。買い手は損失が限られる代わりに、多くの場合はプレミアムが目減りしていきます。売り手は小さな利益を積み重ねやすい代わりに、相場が大きく動いたときの損失が大きくなります。
02取引のルール(ラージとミニ)
| 日経225オプション(ラージ) | 日経225ミニオプション | |
|---|---|---|
| 取引単位 | オプション価格 × 1,000円 | オプション価格 × 100円 |
| 満期(限月) | 毎月の第2金曜日(SQ日) | 毎週金曜日と毎週水曜日 |
| 取引最終日 | SQ日の前営業日 | 各満期日の前営業日 |
| 決済 | 途中で反対売買するか、満期にSQ値との差額で精算(差金決済) | |
| 取引時間 | 日中 8:45〜15:45/夜間 17:00〜翌6:00 | |
| 呼値(値段の刻み) | 300円以下は1円、300円超は5円 | |
| 権利行使価格の間隔 | 250円(直近の限月は125円) | 125円 |
たとえば価格が100円のオプションは、ラージなら1枚10万円、ミニなら1枚1万円です。ミニは金額が10分の1で、毎週の満期があるため、少額で練習したい人や短期の戦術に向いています。
出所:大阪取引所「日経225オプション」「日経225ミニオプション」制度概要(2026年10月時点)
03SQとSQ値(直近12か月の実績)
SQ(特別清算指数)とは、満期日の朝、日経平均を構成する225銘柄の始値から計算される特別な日経平均の値です。日経225オプションも日経225先物も、最後はこのSQ値で精算されます。ふだんの日経平均(終値)とは別の値なので、SQ日の朝の寄り付きは大きく動くことがあります。
| 限月 | SQ値 | 前月比 |
|---|---|---|
| 2026年10月限 | 68,465.23 | +5,425.74 |
| 2026年9月限メジャー | 63,039.49 | −6,662.64 |
| 2026年8月限 | 69,702.13 | +530.58 |
| 2026年7月限 | 69,171.55 | +2,473.51 |
| 2026年6月限メジャー | 66,698.04 | +4,069.40 |
| 2026年5月限 | 62,628.64 | +6,055.75 |
| 2026年4月限 | 56,572.89 | +3,663.44 |
| 2026年3月限メジャー | 52,909.45 | −4,136.20 |
| 2026年2月限 | 57,045.65 | +5,520.42 |
| 2026年1月限 | 51,525.23 | +988.69 |
| 2025年12月限メジャー | 50,536.54 | +212.88 |
| 2025年11月限 | 50,323.66 | +1,544.52 |
出所:大阪取引所が公表するSQ値をもとにカブラボ集計。3・6・9・12月は先物とオプションの満期が重なる「メジャーSQ」です。
日経225ミニオプションには、毎月のSQ日以外にも毎週金曜日(と水曜日)に満期があります。金曜日に満期を迎えるWeeklyオプションのSQ値は、次のとおりです。
Weekly(金曜満期)のSQ値を見る(直近12か月・37件)
| 満期日 | SQ値 | 前回比 |
|---|---|---|
| 2026年10月16日(金) | 64,665.18 | −3,811.91 |
| 2026年10月2日(金) | 68,477.09 | +2,918.14 |
| 2026年9月25日(金) | 65,558.95 | +740.63 |
| 2026年9月18日(金) | 64,818.32 | +384.10 |
| 2026年9月4日(金) | 64,434.22 | −1,651.70 |
| 2026年8月28日(金) | 66,085.92 | +791.11 |
| 2026年8月21日(金) | 65,294.81 | −417.37 |
| 2026年8月7日(金) | 65,712.18 | +830.62 |
| 2026年7月31日(金) | 64,881.56 | −630.54 |
| 2026年7月24日(金) | 65,512.10 | +316.73 |
| 2026年7月17日(金) | 65,195.37 | −3,005.72 |
| 2026年7月3日(金) | 68,201.09 | −2,499.55 |
| 2026年6月26日(金) | 70,700.64 | −1,306.79 |
| 2026年6月19日(金) | 72,007.43 | +5,257.42 |
| 2026年6月5日(金) | 66,750.01 | +1,314.14 |
| 2026年5月29日(金) | 65,435.87 | +2,920.95 |
| 2026年5月22日(金) | 62,514.92 | −431.75 |
| 2026年5月15日(金) | 62,946.67 | +3,349.22 |
| 2026年5月1日(金) | 59,597.45 | +117.08 |
| 2026年4月24日(金) | 59,480.37 | +126.26 |
| 2026年4月17日(金) | 59,354.11 | +6,172.63 |
| 2026年4月3日(金) | 53,181.48 | +131.72 |
| 2026年3月27日(金) | 53,049.76 | −656.05 |
| 2026年3月19日(木) | 53,705.81 | −928.29 |
| 2026年3月6日(金) | 54,634.10 | −3,676.05 |
| 2026年2月27日(金) | 58,310.15 | +1,300.75 |
| 2026年2月20日(金) | 57,009.40 | +3,806.41 |
| 2026年2月6日(金) | 53,202.99 | −157.54 |
| 2026年1月30日(金) | 53,360.53 | −568.65 |
| 2026年1月23日(金) | 53,929.18 | −107.43 |
| 2026年1月16日(金) | 54,036.61 | +3,501.98 |
| 2025年12月26日(金) | 50,534.63 | +1,138.91 |
| 2025年12月19日(金) | 49,395.72 | −1,082.24 |
| 2025年12月5日(金) | 50,477.96 | +251.22 |
| 2025年11月28日(金) | 50,226.74 | +1,961.24 |
| 2025年11月21日(金) | 48,265.50 | −1,839.60 |
| 2025年11月7日(金) | 50,105.10 | −1,622.83 |
Weeklyの出所:大阪取引所が公表するWeeklyオプションの清算数値をもとにカブラボ集計。毎月第2金曜日は月次のSQ(上の表)と同じ日のため除いています。祝日で金曜日が休みの週は、前営業日の満期を載せています。前回比は、1つ前の金曜満期との差です。
私はSQ値を、次の満期に向けた相場の目安としても使っています。毎日の相場解説で繰り返し確認してきた傾向は次のとおりです(必ずそうなるわけではありません)。
- SQを通過した後、終値がSQ値より上で推移するか下で推移するかで、次のSQに向けた方向感がある程度見えてくる。
- メジャーSQの週は思惑的な値動きが出やすく、通過すると相場つきがいったんリセットされやすい。
- オプションの建玉が厚く積み上がった行使価格に株価が近づくと、売り方のヘッジ(先物の売買)で値動きが加速することがある。
SQ値と建玉から次の満期の想定レンジを毎営業日判定したものは、カブラボ マーケットデータで公開しています。
04オプションの価格はどう決まるか
オプションの価格(プレミアム)は、大きく2つの部分でできています。
- 本質的価値:いま権利を使ったらいくら得をするか。たとえば日経平均が68,500円のとき、行使価格68,000円のコールには500円分の本質的価値があります。
- 時間価値:満期までにもっと有利になるかもしれない、という期待の分。満期までの日数が長いほど、また相場の値動きが大きいと予想されているほど高くなります。
時間価値は満期に近づくほど減り、満期日にはゼロになります。オプションの売り手が利益を得られるのは、主にこの時間価値の減少を受け取るからです。また、市場が予想する値動きの大きさを「インプライド・ボラティリティ(IV)」と呼び、日経225オプションのIVから計算した指数が日経平均ボラティリティー・インデックス(日経VI)です。日経VIが高いときはオプションが割高に、低いときは割安になります。
05始め方と初心者の戦略
口座と必要な資金
日経225オプションは、SBI証券・楽天証券・マネックス証券など多くのネット証券で取引できます。ふつうの株の口座とは別に「先物・オプション取引口座」の開設が必要で、投資経験や資産の審査があります。
- 買い:必要なのはプレミアムの代金だけです(価格100円ならラージ10万円、ミニ1万円)。
- 売り:証拠金が必要で、相場の水準や変動によって変わります。損失が証拠金を上回ることもあります。
最初に覚えたい3つの使い方
- 方向に賭ける(コール・プットの買い):上がる・下がると思う方向の権利を買う。損失はプレミアムまでですが、当たっても時間価値が減るぶん、ある程度の速さで動かないと利益になりません。
- 範囲に賭ける(遠い行使価格の売り):「満期までにここまでは上がらない(下がらない)」と考える価格のコール・プットを売り、時間価値を受け取る。勝率は高くなりやすい一方、急変時の損失が大きいので、必ず損切りのルールを決めてから使います。
- 保険にする(プットの買い):保有株や先物の下落に備えてプットを買う。
売りと買いを組み合わせて損失の上限を決める「スプレッド」も、初心者がリスクを抑えるのに有効です。私がふだん気をつけていることを挙げておきます。
- 強いトレンドが出ている間は、その逆方向のオプションを売らない(上昇が続いている間のコール売りなど)。
- 満期までの日数に対してプレミアムが薄すぎる売りは、リスクに見合わないので見送る。
- SQ前日は無理に持ち越さず、決済するか損益を確定させてからSQを迎える。価格が10円以下になったオプションも、放置せず決済する。
- CPI(米消費者物価指数)やFOMCなど大きなイベントの前は、無理にポジションを取らず結果を確認してから動く。
06熊谷式:チャートと「時間」を味方にするオプション戦術
ここまでは日経225オプションの一般的な説明です。ここからは、私が「みんなの投資ラボ」で実際に使い、解説している考え方を紹介します。
「チャートでは勝てない」は、半分間違っている
「テクニカル分析では勝てない」という声はよく聞きます。私自身、若い頃は10個のチャートを並べて多数決で売買し、まったく勝てませんでした。でも原因はチャートそのものではなく、同じ株価から作った指標をいくつも重ねて、相場の状況に関係なく同じように使っていたことでした。
大事なのは、相場の局面ごとに「どのチャートを優先するか」を決めておくことです。私はTradingViewで、MACD Mk2、ボリンジャーバンド(バンドウォーク)、Zスコアなどを、トレンドが出ているときと出ていないときで使い分けています。そしてそのチャート自体をメンバーに配布しているので、誰が見ても同じサインが見える、再現できる手法になっています。
チャートの判断に「時間」を組み合わせる
株や先物は、方向を当てないと利益になりません。オプションの売りは、「こちらには行かない」と判断できれば、時間がたつだけでプレミアムが減っていき、その分が利益になります。
- チャートで「上に行く勢いがない」と判断できる局面では、遠い行使価格のコールを売り、時間価値の減少を受け取る。
- 強いトレンドが出たら、その方向には逆らわず、売る側を切り替えるか、方向に乗る戦術に切り替える。
- 買いと組み合わせたスプレッドや、あらかじめ決めた損切りで、損失の上限を先に決めてからポジションを持つ。
「方向を完璧に当てる」必要がなく、外れたときの損失も先に決められるので、オプションが初めての人でも取り組みやすい形になります。みんラボでは、チャートの作り方から、どのサインでどの戦術を使い、どこで決済するかまでを順を追ってガイドしています。
私自身の運用は、勝率55%、リスク・リターン(平均利益÷平均損失)1.5倍を基準にした堅実なもので、それでも年率では毎年10〜35%の成果を上げています。勝率7〜8割を狙う必要はなく、負けを小さく、勝ちを少し大きくする設計を淡々と続けることが大切です。
※ 熊谷個人の過去の運用成績で、将来の成果を保証するものではありません。
オプションは怖くない。むしろ、使わないと不利になる
オプションは「危ない」「上級者向け」と思われがちですが、年金や保険会社などの機関投資家は、保有資産のヘッジや収益の上乗せに日常的にオプションを使っています。相手がオプションを使っている市場で、個人だけが使わないのは、それだけで不利です。
米国では個人投資家のオプション取引が当たり前になっている一方、日本でオプションを取引している個人投資家はほんの一部にとどまります。裏を返せば、今から始めても遅くありません。また、個別株しか取引しない人にとっても、プットの買いで急落に備えるといったオプションでのヘッジは、知っておくべき基本の知識です。
配布チャートの使い方から、戦術の選び方・建て方・決済のルールまで。実ポジションやバックテストは数日後に記録として共有しています。
※ 記載の戦術は利益を保証するものではありません。オプションの売りは、相場の急変時に大きな損失が出る可能性があります。売買の判断はご自身で行ってください。
07リスクと注意点
- 売りの損失は限定されない:急落・急騰時には、受け取ったプレミアムの何倍もの損失になることがあります。証拠金の追加(追証)を求められることもあります。
- 買いは時間とともに価値が減る:予想した方向に動いても、動くのが遅いと利益にならないことがあります。
- SQ値は終値と違う:満期の精算は朝の始値から計算されるSQ値で行われるため、前日の終値や当日の終値とは差が出ます。
- 流動性:満期が遠い限月や、現在値から遠い行使価格は売買が少なく、思った価格で決済できないことがあります。
08よくある質問
01日経225オプションとは何ですか?
日経平均株価を対象にしたオプション取引で、大阪取引所に上場しています。決めた価格(行使価格)で日経平均を買う権利(コール)と売る権利(プット)を売買し、満期のSQ日にSQ値との差額のお金で精算されます。取引単位はオプション価格×1,000円(ミニは×100円)です。
02SQ値とは何ですか?
SQ値(特別清算指数)は、満期日(原則として毎月第2金曜日)の朝に、日経平均を構成する225銘柄の始値から計算される特別な日経平均の値です。日経225オプションと日経225先物は、このSQ値で最終的に精算されます。
03日経225オプションはいくらから始められますか?
買いの場合はプレミアムの代金だけで始められます。オプション価格が100円なら、ラージは1枚10万円、ミニは1枚1万円です。売りの場合は証拠金が必要で、金額は相場の水準や変動によって変わります。
04日経225ミニオプションとの違いは何ですか?
ミニオプションは取引単位がオプション価格×100円で、ラージ(×1,000円)の10分の1です。満期もラージが毎月の第2金曜日なのに対し、ミニは毎週金曜日と毎週水曜日にあります。
05オプションの買いと売り、初心者はどちらから始めるべきですか?
損失が支払ったプレミアムまでに限られる「買い」の方が、最悪のケースを把握しやすいので仕組みを覚えるのに向いています。ただし買いは時間とともに価値が減るため、勝率は低くなりがちです。売りは勝率が高くなりやすい一方、損失が限定されないため、損切りのルールを決め、少ない枚数で始めることが大切です。
06日経225オプションはどの証券会社で取引できますか?
SBI証券・楽天証券・マネックス証券など、多くのネット証券で取引できます。株式の口座とは別に先物・オプション取引口座の開設が必要で、投資経験や資産状況の審査があります。